避難所での父の台詞「失敗しない計画は、無計画だ。計画を立てても、必ずそのとおりにならない」(うろ覚え)という無気力感が、この作品が描く現代韓国社会の根底にある貧困層(あるいは中流層も?)の病理である。
低地(下流)、地下あるいは半地下という空間に住うそのような人々は、そのまま地下に住み続けるか、あるいは引きずり出され狂うしかない(ドストエフスキー『地下室の手記』ってそういう話でしたっけ)。
ことが起きても、革命は起きない。上流階級内で住人がいれかわるだけである。
地下室の人間は足掻いたとて地下室から抜け出すことはできず(父は半地下→地下 息子・母は半地下→半地下 娘は半地下→納骨堂)、宿命的な「におい」によって地上になじむことができない。
、、、というようなタイプの解釈が、すんなりと当てはまるようなストゥディウム的映画だったなという感想。プンクトゥムがない。
「素晴らしい!しかしオレを突き刺す映画ではない」。
浸水した家のトイレでタバコを吸うギジョンが素晴らしすぎて、パラレルストーリーとしてその後死なずに生きていくギジョンの姿はちょっと観たい。
・ひとこと追記
あの豪邸の居間には、地下にいる男のにおいは漏れ出ていなかったのだろうか。家政婦に、においはこびりついていなかったのだろうか。