はじめに
僕にとって2019年は、MCUとGame of Thronesにハマり、そしてそれらが同時に一応の完結をみせた年だった。
完結後に、1-1をみると涙が止まらない。
ただ自分のまわりでは、MCUにハマる人間は多々いるけれど、Game of Thronesにハマっている人間はほとんどいない。
なぜ。こんなにおもしろいのに。もったいない。
なのでせっかくだから、紹介も兼ねて、まだ記憶が鮮明なうちにGame of Thronesについて書いてみたい。
なにがおもしろいのか、書きながら、整理していく。
概要
Game of Thronesは、アメリカのケーブルテレビ会社HBOによるテレビドラマだ。原作もある(George Raymond Richard Martin『A Song of Ice and Fire』)。
2011年から始まり、2019年に完結した。続編(話の中心となるターガリエン家の過去が描かれる)は数年後に放映予定とのこと。
中世ヨーロッパのような世界を舞台にした、かなりダークな(社会派)ファンタジーと言っていい。
多額の予算により世界各地でロケが行われていて、特にクロアチアはGame of Thronesの聖地巡礼者たちで賑わっているそう。
エミー賞をはじめとして、多くの賞を獲得しており評価も高い。
そんなGame of Thronesだが、日本ではいまいちウケていないようだ。
舞台設定が中世ヨーロッパをイメージしたファンタジーということもあり、ハリー・ポッターやロード・オブ・ザ・リングのような子ども向けの印象を持たれているからなのか。
あるいは、序盤から説明なしにドサっと登場人物が出てくることに苦手意識を持つのか。
あるいは、エログロのオンパレードに耐えられないのか。
理由はいまいちわからない。
おもしろさのポイント
全8シーズン、73話の長編だけにおもしろさは数多あるし、細部を取り出したらキリはないのだけど、それらからひとつピックアップするとしたらそれは、個人とシステムの関係性だと僕は思う。
多くの登場人物が、それぞれの背景や立場を抱えつつ王位継承権の争いに巻き込まれていく。その過程で、一人ひとりの思いや決断が混ざり合い、ぶつかり合い、システムを形成していく。
この場合のシステムは、「個人を超えた自律的に存在するもの」と思ってほしい。
人はシステム(たとえば国家、たとえば宗教)をつくる。
一人ひとりの行動が重なりあって自律的なシステムが生まれる。
システムは人を助け、人を疎外する。
登場人物たちは皆真剣だ。
それぞれの苦悩を抱えながら、もがき、システムに翻弄され、それでもなおシステムに抗う(あるいは受け入れる)。
登場人物達の、人間としての奮闘と自律的なシステムの駆動が、大きなうねりとなって、叙事詩としてのGame of Thronesを作り上げている。
そしてこの作品ではシステムがさらに上位のシステム(大いなる力)によって動かされている気配がある。
盤面を俯瞰し、Gameを楽しんでいるなにかがいる。
ネタバレを避けて書いているので、ボヤッとした内容になってしまったが、こんなところだろうか。
言ってしまえば、個人とシステムという点では、僕たちの世界から完全に切り離された話ではない。ウェスタロスを鏡にした、僕たちの世界の話なのだ。
いずれにせよ、まずは我慢してでもシーズン1を通しで観てもらえれば、エピソード9のラストシーンで上記の話がわかってもらえるのではないかと思う。
(たぶん続きます)